「保育園落ちた日本死ね」問題に、保育所の経理を十数年やっている自分としては、触れなければいけない問題です。
タイトルには「保育園が増えない理由」と書いていますが、実際はかなりの数の施設が増えています。
ただ、一般の人が想像するような、幼稚園規模の保育園はほとんど増えていません。むしろ減っていく一方です。
待機児童のピークは2017年(平成29年)
なぜ、大きな保育所ができないのかは、非常に簡単な理由です。
児童福祉施設の需要が2017年を皮切りに減っていくので、大きな認可保育所などを作るわけにはいかないのです。
そこで注目が集まっているのが「小規模保育事業」です。
定員6~19人の比較的小さな施設で、この事業の一番の目的は最も待機児童の多い1、2歳児をカバーすることです。
また別の性格として、小規模がゆえに、事業をたたみやすいということもあります。
裏を返せば、「たたみやすいから、増やしやすい」とも言えます。
つまり、待機児童は「待てば自然的に解消される」と予想される中、一番機動力がある小規模保育事業に待機児童解消をお願いし、待機児童の自然減とともに、小規模事業の相次ぐ撤退も予想されるわけです。
たとえば、全国にある国立病院内保育 所151カ所を受託運営していたピジョンが一年後に全面撤退するとしています。
大手が統計上の待機児童のピークを意識しているのがよくわかります。
待機児童のおかげで保育所が成り立つシステム
この問題はあまり報道では取り上げられません。
なぜなら、「待機児童がいる」→「自民党の政策が悪い」→「解散しろ」
と、このように政治的なものにすぐに結び付けられ、「待機児童解消しろーーー!!」と、言うことが政治的な圧力になると思っているからです。
しかし!!
待機児童がいなければ、運営できない保育所だってあるんです!
保育所の経営の大部分は、保育所に在籍する子供の人数で支給される補助金と人件費で決まります。
つまり、「待機児童がいなくなる」=「定員割れが起きる」=「もらえる補助金が少なくなる」わけです。
本当に致命的な問題なのです(-_-;)
なので自分は・・・・「待機児童適度に残せーーーー!ヽ(`Д´)ノ」と叫びたいのです。
保育士の低い給料問題
これは他の記事で書いているので、こちら参考「保育士の平均年収、ボーナスが低い理由」
本当はそれなりの給料は払えるだけの補助金は出ています。
しかし、経営者だけがボロ儲けしても、まったく問題のないシステムのため、現場の保育士には給料が行き渡らないのです。
保育園が増えないから、既存施設の定員枠を増やす
これ、この業界に精通していない人が考えると、「なんだ、もっとたくさん子供を入れられるなら、なんでもっと早く増やさないんだよ!」って思うかもしれません。
ですが、子供の定員枠を増やすって、簡単な話ではないんですよ。。
まずは、保育士がいない。。。保育士不足問題。
→国の保育士試験を年1回から年2回にした。そのうち保育士でなくても、保育ができるようになるかもしれない
→しかし、人様の子供をお金をもらって預かるわけですから、一定の知識が必要なのは言うまでもない。
そして、定員枠が増えたときの部屋のスペースの問題
→児童一人当たりの必要面積は0~1歳児であれば3.3㎡です。
→しかし、この基準に大人の必要面積は含まれていないのです!!!
つまり、子供が増えれば、当然大人も増やさなければいけないわけで、部屋の面積ギリギリまで子供を詰め込むと、
例えば午睡のときなんかは、大人のスペースが本当に限られていて、そんな中で連絡帳などを暗い中で書かないといけないのです。。 まともに休憩も取れなくなります。。
経理が語る理想の児童福祉
保育園が増えない理由は以上ですが、自分の考える理想の福祉についても書いてみたいと思います。
ここで「ヨーロッパの保育は素晴らしい~」などという無いものねだりをするつもりはありません。
都市部であれば、過密保育になってしまうのは、現段階ではどうすることもできない問題です。
その中でいかに子供が子供らしく成長するのかを考えるべきだと思います。
都市部でよく見られる光景ですが、「なんでこんなところに保育園作っちゃうんだろう」ということもあります。しかし、そう思っても、需要があるので定員が割れるようなことはほとんどありません。
そう思うような場所で育つ子供も、大自然の中で育つ子供も、幸せ度は変わりません!みんな保育園大好き、先生大好きです(*゜ー゜)
だからそこで働いている保育士も自信を持って働いてほしいです。
子供らしくと言っても、わかりやすい例で言えば、「保育士の子供は完璧か?」と言われれば、そんなことはなく、どこの家庭の子供と大した差はありません。
一つ違うと言えば、子供の成長に関する知識があるので、子育てに少し余裕がある程度です。
どこの保育園でも保育士が保育しやすい環境を作ることができれば、おのずと子供に対しても笑顔で接することができ、そういう保育士の元、保育を受けた子供たちは幸せです。
たったこれだけのことです!
介護業界で起きる問題も、職員の処遇に対する不満が溜まるから起きています。保育もまったく一緒です!
福祉職につく全ての大人がこういう考えを持ち、そこで働く職員がどうやったら幸せに働けるのかを考え合うことができれば、それが理想の福祉に繋がると思います!
tasukuism
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